エンジン音を聞きながら走る道、目的地で待つテントとキャンプ飯。ツーリングキャンプは、バイクとキャンプの楽しさを一度に味わえる最高の遊びです。でも初めての方にとって「何を持っていけばいいの?」「バイクに積めるの?」という不安は大きいもの。筆者も初回は荷物が多すぎてリアシートがパンパンになり、高速道路で不安定な思いをした経験があります。

この記事では、実際に何度もツーリングキャンプを重ねてきた経験から、本当に必要な装備だけを厳選してご紹介します。

ツーリングキャンプで必要なものチェックリスト

積載スペースが限られるツーリングキャンプでは、「軽量・コンパクト・多用途」が鉄則。優先度別に整理しました。

★★★ 絶対に必要(これがないと泊まれない)

  • テント(1〜2人用、総重量2kg以下推奨)
  • シュラフ(寝袋)
  • マット・エアマット
  • ライト・ヘッドランプ
  • 調理器具セット(バーナー、クッカー)
  • レインウェア
  • ツーリングバッグ(サイドバッグまたはシートバッグ)

★★ 快適度が上がる(できれば持って行きたい)

★ あると便利(余裕があれば)

  • ランタン(雰囲気づくり)
  • ポータブル電源(小型)
  • コーヒードリップセット
  • ハンモック

必須アイテム詳細|選ぶポイントと注意点

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テント:バイクに積めるコンパクトさ最優先

ツーリングキャンプのテント選びで最も重要なのは「収納サイズ」です。ファミリー向けの大型テントは論外。ソロ〜2人用で収納時40cm以下、重量2kg以下が目安になります。

筆者が実際に使っているのはドーム型の1人用テント(収納38cm、1.5kg)。真冬の北海道ツーリングでも問題なく使えました。ただし前室が狭いため、靴や荷物を置くスペースは限られます。雨天時のことを考えると、前室が広めのモデルのほうが快適です。

選び方のポイント:

  • 収納サイズ40cm以下(シートバッグに入るサイズ)
  • 設営が簡単(疲れた体でも10分で建てられる)
  • 前室の有無(雨対策と荷物置き場として重要)
  • 耐水圧1500mm以上(突然の雨に備える)

注意点:軽量化を追求したウルトラライトテントは生地が薄く、強風に弱い傾向があります。初心者はバランス型を選ぶのが無難です。

シュラフ(寝袋):季節と気温で選ぶ

「夏キャンプだから薄いシュラフでいいや」と思っていませんか?

実は標高の高いキャンプ場や山間部では、真夏でも夜間10℃以下になることがあります。筆者は8月の北アルプス麓で寒くて眠れなかった苦い経験があります。最低使用温度を必ず確認しましょう。

季節別の目安:

シーズン最低使用温度タイプ
春・秋(3〜5月、10〜11月)0〜5℃3シーズン用
夏(6〜9月)10℃以上夏用
冬(12〜2月)-5℃以下冬用・マミー型

ダウンと化繊、どちらがいい?正直なところ、初心者には化繊がおすすめです。ダウンは軽量コンパクトですが濡れに弱く、価格も高め。化繊は多少重いものの、濡れても保温性が落ちにくく、価格も手頃です。

マット:地面の冷気を遮断する縁の下の力持ち

意外に見落としがちなのが、このマット。

テントの下に敷くグランドシートとは別に、寝るときに体の下に敷くマットが必要です。これがないと、どんなに高性能なシュラフを使っても地面からの冷気で体が冷えます。筆者が初キャンプで一番後悔したのが、実はこのマットをケチったことでした。

選択肢は3つ:

  • エアマット:空気で膨らむタイプ。寝心地最高だが、パンクリスクあり。収納はコンパクト
  • インフレータブルマット:バルブを開けると自動で膨らむ。エアマットより厚みがあり安心
  • クローズドセルマット:折りたたみ式のウレタンマット。壊れないが嵩張る

ツーリングキャンプなら、収納サイズと寝心地のバランスが取れた「インフレータブルマット」が最適解です。厚さ3〜5cmあれば十分快適に眠れます。

ライト・ヘッドランプ:両手が使える安心感

夜間のキャンプ場は想像以上に真っ暗です。トイレに行くにも、テント内で荷物を探すにも、料理をするにも明かりが必要。そして絶対に両手が空くヘッドランプをおすすめします。

明るさは200〜300ルーメンあれば十分。それより重要なのは連続点灯時間(最低6時間以上)と防水性能(IPX4以上)です。充電式とボタン電池式がありますが、ツーリング中の充電環境を考えると、予備電池を持てる電池式のほうが安心かもしれません。

調理器具:シングルバーナーとクッカーのセットで十分

結論から言えば、ツーリングキャンプの調理はシンプルに。

ガスバーナー(CB缶またはOD缶)とクッカー(鍋)があれば、お湯を沸かす、カップ麺を作る、簡単な炒め物をする、すべて可能です。フライパンや複数の鍋は持ち運びが大変なので、多用途に使えるクッカーセット(大小2個セット)を選びましょう。

CB缶 vs OD缶:

  • CB缶:コンビニで買えるカセットボンベ。安いが寒冷地・高地では火力低下
  • OD缶:アウトドア専用。火力安定、コンパクトだが価格高め

初心者は入手しやすいCB缶対応バーナーから始めて、慣れたらOD缶に移行する流れがスムーズです。

レインウェア:命を守る装備

これは妥協してはいけません。

ツーリング中の雨は体温を奪い、視界を悪くし、事故リスクを高めます。100円ショップのカッパでは数時間で浸水しますし、蒸れて体力を消耗します。最低でも耐水圧10,000mm以上、透湿性のあるものを選んでください。

バイク用のレインウェアは、走行時の風圧を考えた作りになっており、袖が長め、裾が絞れる、フードが風で飛ばない設計になっています。キャンプ用と兼用できるので、一着良いものを持っておくと安心です。

ツーリングバッグ:積載の要

そもそも、なぜ普通のバッグじゃダメなのでしょうか?

理由は「防水性」と「固定方法」です。ツーリング中の荷物は雨と振動に晒されます。普通のバッグでは浸水し、走行中にずれて危険です。ツーリングバッグ(防水仕様)は必須投資と考えてください。

タイプ別の特徴:

  • シートバッグ:後部座席に載せる。容量30〜60L。脱着が簡単で初心者向き
  • サイドバッグ:左右対称に積載。重心が安定。容量大きいが価格高め
  • タンクバッグ:小物入れに便利。地図やスマホを見やすい位置に

初めてなら、まずシートバッグ(40L程度)とタンクバッグの組み合わせがおすすめです。荷物が増えたらサイドバッグを追加する形で拡張できます。

あると便利なアイテム|快適度を上げる追加装備

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チェア:焚き火タイムの満足度が段違い

正直、チェアがなくても死にはしません。でも、あるとキャンプの満足度が驚くほど上がります。

ツーリングキャンプ向けなら、収納サイズ35cm以下、重量1kg前後のコンパクトチェアを。背もたれがあるとリラックス度が違います。地面に直接座るのと比べて、焚き火を眺める時間、朝のコーヒータイムが格段に心地よくなります。

焚き火台:キャンプの醍醐味

「焚き火なんて面倒」と思っていた筆者ですが、一度やったらハマりました。

ツーリングキャンプでは、折りたたみ式の小型焚き火台(A4サイズ程度に収納できるもの)がベスト。直火禁止のキャンプ場がほとんどなので、焚き火をしたいなら必須アイテムです。調理にも使えるので、バーナーとは別の楽しみ方ができます。

ただし薪の調達が必要なため、初めての方はまずバーナー調理に慣れてから焚き火に挑戦するのがおすすめです。

タープ:雨の日の救世主

晴れの日は不要です。でも、天気予報が怪しいときは持って行くと安心。

ツーリングキャンプでは、大きなタープは積載が厳しいので、小型のヘキサタープ(3m×3m程度)か、テント連結型を選びましょう。設営は少し手間ですが、雨天時の調理スペースや荷物置き場として重宝します。

ポータブル電源:モバイルバッテリーの進化版

スマホの充電だけならモバイルバッテリーで十分ですが、カメラやドローンを持ち込む方、電気毛布を使いたい方にはポータブル電源が便利です。

ただし重量が1〜3kgあるため、積載スペースと相談。筆者は夏は持たず、冬キャンプ限定で小型モデル(200Wh)を持参しています。USB-Cポートがあると、最近のガジェットにも対応できて便利です。

予算別モデルプラン|3万円・5万円・10万円で揃える

実は○○の8割は最初の装備選びで決まります。

ここでは、予算別に「これだけ揃えれば出発できる」セットをご紹介。実際に筆者や仲間が使っているアイテムをベースに構成しました。

【予算3万円】最低限スタートプラン

とにかく安く始めたい、まずは試してみたい方向け。一泊二日の週末キャンプなら十分です。

アイテム参考価格ポイント
テント(ドーム型1人用)8,000円ノーブランドでもOK、設営簡単なもの
シュラフ(化繊・3シーズン)4,000円夏〜秋用
インフレータブルマット3,000円厚さ3cm程度
ヘッドランプ1,500円電池式
CB缶バーナー3,000円有名メーカーの安心モデル
クッカーセット2,500円アルミ製、大小2個
レインウェア5,000円妥協しない
シートバッグ40L6,000円防水仕様

合計:約33,000円

このプランのメリットは、とにかく低予算で始められること。デメリットは、快適性は最低限で、冬は厳しいこと。夏の低地キャンプ場なら問題ありませんが、標高の高い場所や寒い時期には装備不足です。

【予算5万円】標準・バランス型プラン

年間を通じて楽しめる、おすすめの構成。筆者が初心者に一番勧めるのがこのレベルです。

アイテム参考価格ポイント
テント(前室付き1〜2人用)12,000円国内ブランド、前室広め
シュラフ(化繊・快適温度5℃)7,000円3シーズン対応
インフレータブルマット5,000円厚さ5cm、R値3.0以上
ヘッドランプ3,000円300ルーメン、充電式
OD缶バーナー5,000円火力安定
クッカーセット4,000円チタン製または良質アルミ
レインウェア8,000円耐水圧15,000mm以上
シートバッグ50L9,000円信頼性の高いブランド
コンパクトチェア4,000円背もたれ付き

合計:約57,000円

このプランなら春〜秋まで幅広く対応でき、快適性も確保できます。チェアを足したことで滞在時間の満足度が上がります。長く使える品質のものが多いため、買い替えの必要が少なく、結果的にコスパが良いです。

【予算10万円】本格・こだわりプラン

ある晩のキャンプで痛感したのですが、装備の質は睡眠の質に直結します。

このプランは、軽量性・耐久性・快適性すべてにこだわった構成。年間10回以上キャンプに行く方、冬も楽しみたい方向けです。

アイテム参考価格ポイント
高品質テント(前室広い2人用)25,000円軽量、設営簡単、4シーズン対応
ダウンシュラフ(快適温度0℃)18,000円軽量コンパクト
高性能マット(R値4.0以上)10,000円冬でも暖かい
高性能ヘッドランプ6,000円500ルーメン、防水IPX7
高火力バーナー+予備缶8,000円寒冷地対応
チタンクッカーセット8,000円超軽量
高性能レインウェア15,000円ゴアテックス等
サイドバッグ+シートバッグ25,000円積載容量70L以上
高級チェア8,000円軽量で座り心地抜群
焚き火台セット7,000円調理可能タイプ
小型タープ6,000円雨天対応

合計:約136,000円

予算オーバーしていますが、これは「フルセット」の金額。実際には少しずつ買い足していく形でOKです。このレベルになると、積載の自由度が高く、4シーズン対応、連泊も余裕です。ただし初心者がいきなりここから始めると、使いこなせないまま挫折するリスクもあります。

よくある質問

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Q1. キャンプ初心者ですが、ツーリングキャンプから始めても大丈夫ですか?

大丈夫です。ただし、いきなり遠出するのではなく、まずは自宅から1〜2時間の近場のキャンプ場で練習することをおすすめします。テントの設営、調理、荷物の積み方に慣れてから、本格的なツーリングに出かけると安心です。最初は日帰りキャンプ(デイキャンプ)で雰囲気を掴むのも良い方法です。

Q2. バイクが小型(125cc以下)なのですが、積載は厳しいですか?

正直なところ、積載スペースは限られますが、工夫次第で可能です。シートバッグを小さめ(30L程度)にして、極力軽量コンパクトな装備を選べば問題ありません。ただし大型バイクより積める量は確実に少ないので、「必須アイテム」に絞り、チェアや焚き火台は諦める選択も必要かもしれません。リュックを背負う方法もありますが、長距離は疲れるのであまりおすすめしません。

Q3. 夏だけのつもりなのですが、3シーズン用シュラフは必要ですか?

標高の低いキャンプ場(海沿いや平地)で、真夏(7〜8月)だけなら夏用でも大丈夫です。ただし山間部や高原のキャンプ場は、夏でも夜間15℃以下になることがあります。筆者の経験上、「ちょっと暑いかな」くらいの装備のほうが、「寒くて眠れない」より遥かにマシです。3シーズン用なら春・秋も使えるので、長い目で見ればコスパは良いですよ。

Q4. レンタルで済ませることはできますか?

できます。最近はキャンプ場併設のレンタルサービスや、宅配レンタルも充実しています。ただしツーリングキャンプの場合、「現地でレンタル品を受け取る」形になるため、好きなキャンプ場を自由に選べない制約があります。また、何度も借りると購入したほうが安くなるので、年3回以上行くなら購入をおすすめします。「まずは1回試したい」という方には、レンタルは良い選択肢です。

Q5. 雨の日はキャンプを中止すべきですか?

小雨程度なら、しっかりした装備があれば楽しめます。むしろ雨キャンプ独特の静けさと雰囲気があります。ただし、強風や雷を伴う悪天候、台風接近時は無理せず中止してください。安全第一です。ツーリング中の雨は視界が悪く危険なので、天気予報をこまめにチェックし、無理のない計画を立てることが大切です。タープがあると雨の日の快適度が段違いに上がります。

まとめ・持ち物チェックリスト

ツーリングキャンプの装備選びで最も大切なのは、「軽量・コンパクト・多用途」の3原則です。この記事の要点を3つにまとめます。

  • 必須装備(テント・シュラフ・マット・ライト・バーナー・レインウェア・バッグ)は妥協しない → これがないと安全に泊まれません
  • 予算は5万円程度が標準 → 3シーズン快適に使えるバランス型装備が揃います
  • まずは近場で練習する → 積載方法と設営に慣れてから本格ツーリングへ

まずは必須アイテムだけ揃えて、近場のキャンプ場で一泊してみてください。そこで「これがあったらもっと快適だな」と感じたものを少しずつ買い足していくのが、失敗しない装備の揃え方です。

エンジン音と焚き火の音、星空とコーヒーの香り。その先にある最高の体験が、あなたを待っています。安全運転で、楽しいツーリングキャンプを!

出発前チェックリスト(印刷・保存用)

キャンプ場に着いてから「あれ忘れた!」を防ぐために、このリストを活用してください。

  • □ テント(ペグ・ロープ含む)
  • □ シュラフ
  • □ マット
  • □ ヘッドランプ(予備電池も)
  • □ バーナー+ガス缶
  • □ クッカー・カトラリー
  • □ レインウェア
  • □ ツーリングバッグ
  • □ チェア
  • □ 着替え・防寒着
  • □ タオル・洗面用具
  • □ 保険証・現金
  • □ スマホ充電器
  • □ ゴミ袋
  • □ 救急セット
  • □ ライター・マッチ
  • □ 地図・キャンプ場予約確認書