焚火の炎が揺れる夜、手にしたグラスから立ち上る豊かな香り。キャンプとワインの組み合わせは、都会では決して味わえない特別な体験です。この記事では、アウトドアシーンに最適なワイン選びから持ち運びのコツ、BBQとのペアリング、そして冬キャンプを格上げするホットワインまで、徹底解説します。
実際に筆者が様々なフィールドで試してきた経験をもとに、「割れない」「常温OK」「美味しい」の三拍子そろったワインをご紹介。初めてキャンプにワインを持ち込む方も、すでに楽しんでいる方も、新しい発見があるはずです。
焚火の前でグラスを傾ける—キャンプ×ワインが最高な理由
結論から言えば、キャンプとワインの相性は抜群です。
都会のレストランとは違い、自然の中で飲むワインには独特の開放感があります。風の音、虫の声、薪が爆ぜる音。五感すべてが研ぎ澄まされた状態で味わうワインは、普段の3割増しで美味しく感じるもの。筆者が初めて河原キャンプで赤ワインを飲んだとき、「同じボトルなのに、こんなに違うのか」と驚いた記憶があります。
さらに、BBQや焚火料理との相性も最高。炭火で焼いた肉の香ばしさと、赤ワインのタンニンが絶妙にマッチします。家族や仲間とグラスを交わす時間は、キャンプの思い出をより特別なものにしてくれるでしょう。
星空の下で飲むワインは格別
夜が更けて焚火が落ち着いてくると、視界いっぱいに広がる星空。この瞬間にグラスを傾けると、ワインの味わいがより深く感じられます。視覚情報が星空に奪われることで、嗅覚と味覚が鋭敏になるのかもしれません。
ただし、飲みすぎは禁物。翌朝のテント撤収が辛くなりますし、自然の中では体調管理が何より大切です。
キャンプに持っていくワインの選び方: 割れない・温度管理不要がカギ

そもそも、なぜキャンプに適したワインがあるのでしょうか?
ガラス瓶は移動中に割れるリスクがあり、デリケートなワインは温度変化で風味が損なわれます。キャンプ場に着くまでの車移動、時には徒歩での搬入。この過程で「割れない工夫」と「温度変化に強い品種」を選ぶことが成功の秘訣です。
割れないための対策3つ
- スクリューキャップのボトルを選ぶ:コルクよりも密閉性が高く、温度変化にも強い
- プチプチやタオルで厳重に包む:クーラーボックスの底に入れ、他の荷物で固定
- ペットボトルやテトラパック入りを検討:最近は品質の良いものも増えている
筆者は以前、スクリューキャップのチリワインを6本持ち込んだ2泊3日キャンプで、1本も割れずに済んだ経験があります。逆に、コルク栓の高級ボトルを持参した際は、移動中の振動でコルクが微妙にずれ、若干の酸化を感じました。
温度管理不要なワインの特徴
常温(15〜20℃)でも美味しく飲めるワインは、キャンプ向きです。具体的には以下の特徴を持つものを選びましょう。
- 果実味が豊かで、タンニンが柔らかめ
- アルコール度数が13〜14.5%程度(高すぎず低すぎず)
- スパイシーさやボリューム感がある品種(カベルネ、シラーズ、マルベックなど)
冷やしすぎると香りが立たないため、むしろ常温の方が本来の味わいを楽しめるワインも多いのです。
春〜秋キャンプにおすすめ: 冷やさなくても旨いワイン
意外に見落としがちなのが、季節ごとの温度特性です。
春から秋のキャンプでは、日中は暖かくても夜は冷え込むことが多いもの。クーラーボックスの氷が溶けてしまい、ワインが常温に戻ることもしばしば。そんな時でも美味しく飲めるワインを厳選しました。
コノスル カベルネ・ソーヴィニヨン ビシクレタ レゼルヴァ
自転車ラベルで有名なチリワインの優等生。参考価格793円とは思えない完成度で、キャンプ初心者に特におすすめです。
実際に初秋の河原キャンプで飲んだ際、常温18℃でもカシスやブラックベリーの果実味がしっかりと感じられ、タンニンも滑らか。BBQのソーセージとの相性が抜群でした。750ml1本を大人2人で分けて、ちょうど良い量。スクリューキャップなので開閉も簡単です。
こんな人におすすめ:ワイン初心者、コスパ重視の方、ソロ〜少人数キャンプ
こんな人には向かない:深みのある複雑な味を求める方、冷やして飲みたい方
イエローテイル シラーズ
オーストラリアの定番シラーズ。スパイシーで力強い味わいが特徴で、焚火の煙と妙にマッチします。
12本セットで参考価格12,500円(1本あたり約1,042円)。グループキャンプや連泊キャンプに最適です。筆者が家族4人で2泊3日のキャンプに持参した際、夜のBBQ、翌朝の残り肉サンドイッチ、2日目の夜の鍋料理と、どのシーンでも活躍しました。約14%のアルコール度数で、飲みごたえも十分。
こんな人におすすめ:グループキャンプ、スパイシーな味好き、肉料理メイン
こんな人には向かない:軽やかな味を好む方、少量だけ試したい方
カサーレ・ヴェッキオ モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
イタリアの果実味豊かな定番デイリーワイン。参考価格2,464円で、989件のレビューで4.56の高評価を獲得しています。
このワインの魅力は、何といってもジューシーな果実味。プラムやチェリーの香りが華やかで、常温20℃でも渋みが強すぎず、初心者でも飲みやすい。筆者が春キャンプで試した際、夕暮れ時の穏やかな風の中、グラスから立ち上る香りに思わず「これだ」と感じました。
パスタやトマト系料理との相性も良く、キャンプ飯のレパートリーが広がります。
こんな人におすすめ:イタリア料理好き、華やかな香りを楽しみたい方
こんな人には向かない:重厚なボルドータイプを求める方
トーレス グラン・サングレ・デ・トロ レゼルヴァ
スペインワインの定番。牛のマークで親しまれる1本で、参考価格1,888円。レゼルヴァクラスの熟成感がありながら、価格は抑えめ。
ガルナッチャとカリニェナのブレンドで、しっかりとしたボディとスパイス感が魅力。秋の夜長、焚火の前で飲むのに最適です。筆者は10月の紅葉キャンプで、このワインと牛肉のステーキを合わせましたが、肉の脂とワインのタンニンが見事に調和しました。
アルパカ カベルネ・メルロー
可愛いラベルで人気のチリワイン。12本セットで参考価格6,697円(1本あたり約558円)と、驚異のコストパフォーマンス。808件のレビューで4.85という驚異的な高評価です。
初めてキャンプにワインを持ち込む方に最もおすすめしたい1本。飲みやすく、失敗がありません。カベルネとメルローのブレンドで、果実味と柔らかさのバランスが絶妙。常温でもキンキンに冷やしても美味しいという、キャンプ向きの優等生です。
筆者が友人家族との合同キャンプで持参したところ、普段ワインを飲まない奥さん方にも「これなら飲める」と好評でした。
こんな人におすすめ:ワイン初心者、大人数キャンプ、コスパ最優先
こんな人には向かない:個性的な味を求める方、少量ずつ色々試したい方
冬キャンプの最強ドリンク: ホットワイン(ヴァン・ショー)の作り方

ある冬のキャンプで痛感したのですが、寒い夜には温かいアルコールが最高です。
ホットワイン(フランス語でヴァン・ショー、ドイツ語でグリューワイン)は、ヨーロッパの冬の定番ドリンク。スパイスと柑橘の香りが体を芯から温めてくれます。キャンプ場で作ると、周囲にシナモンやクローブの香りが漂い、それだけで幸せな気分に。
基本のホットワインレシピ(2人分)
材料:
- 赤ワイン 300ml(安価なもので十分)
- オレンジ 1/2個(輪切り)
- シナモンスティック 1本
- クローブ 3〜4粒
- 砂糖またはハチミツ 大さじ2
- お好みでスターアニス(八角)1個
作り方:
- シェラカップやミニ鍋にワインを注ぐ
- スパイス、オレンジ、甘味料を加える
- 焚火の端や弱火のバーナーで、沸騰直前まで温める(約5分、70℃が目安)
- グラスやマグカップに注ぎ、オレンジを添えて完成
重要な注意点:沸騰させるとアルコールが飛んでしまうため、湯気が立つ程度で火から下ろしましょう。筆者が初めて作った際、沸騰させすぎて「ただの甘いジュース」になった苦い経験があります。
ホットワインに合うワイン選び
正直なところ、ホットワインは加熱とスパイスで風味が大きく変わるため、高価なワインは不要です。むしろ、果実味がしっかりした安価なワイン(1本500〜1,000円程度)がベスト。上で紹介したコノスルやアルパカが最適です。
-5℃の真冬キャンプで試した際、焚火の前でホットワインを飲みながら星空を眺める時間は、まさに至福。体が温まるだけでなく、心まで満たされる体験でした。
BBQに合うワイン: 肉の焼き方×ワインの黄金ペアリング
BBQとワインのペアリング、実は肉の種類や焼き方で最適なワインが変わります。
基本ルールは「肉の濃さ = ワインの濃さ」。シンプルですが、これを意識するだけで格段に美味しくなります。
焼き方別おすすめワイン
| 肉の種類・焼き方 | おすすめワイン | 理由 |
|---|---|---|
| 鶏肉(塩焼き) | 軽めの赤(クマラ ピノ・ノワール) | 淡白な味に重いワインは合わない |
| 豚肉(BBQソース) | 果実味豊かな赤(カサーレ・ヴェッキオ) | 甘辛いソースと果実味がマッチ |
| 牛肉(ステーキ) | 力強い赤(イエローテイル シラーズ、パスカル・トソ マルベック) | 肉の旨味とタンニンが調和 |
| ラム肉 | スパイシーな赤(トーレス) | ラム特有の香りをスパイス感が引き立てる |
クマラ ピノ・ノワール(軽やかな赤の代表)
南アフリカ産のピノ・ノワール。軽やかで飲み疲れしない、春〜夏キャンプの昼BBQに最適な1本です。
赤ワインの中では比較的タンニンが少なく、ベリー系の華やかな香り。鶏肉の塩焼き、焼き野菜、チーズとの相性が抜群です。筆者が初夏のデイキャンプで試した際、冷やして飲んでも美味しく、「これなら白ワイン派の人にも勧められる」と感じました。
楽天で「クマラ ピノ・ノワール」を検索すると複数の販売店が見つかります。価格は1,000〜1,500円程度が目安です。
パスカル・トソ マルベック レゼルヴァ(肉の最強パートナー)
アルゼンチンの力強いマルベック。牛肉のステーキには、これしかないと断言できるほどの相性です。
濃厚な果実味と滑らかなタンニン、そしてほのかなスパイス感が、炭火で焼いた牛肉の旨味を何倍にも引き立てます。ミディアムレアの分厚いステーキと合わせると、もう家のキッチンでは再現できない味わいに。筆者が秋の河原BBQで試した際、周囲から「そのワイン、どこで買ったの?」と質問攻めに遭いました。
価格帯はミドルクラスで、1,500〜2,500円程度。特別なキャンプにぜひ。楽天で「パスカル・トソ マルベック」を検索してみてください。
キャンプで使えるワイングッズ: グラス・オープナー・保冷バッグ
ワイン本体の選び方がわかったところで、次は「道具」です。
キャンプでワインを快適に楽しむには、適切なギアが欠かせません。ただし、荷物を増やしすぎるのもNG。最小限かつ実用的なアイテムを厳選しました。
割れないワイングラス
ガラス製のワイングラスは雰囲気が出ますが、キャンプでは現実的ではありません。おすすめは以下の3タイプ。
- ステンレス製ワイングラス:保冷力があり、結露しにくい。重量は約100g
- トライタン製(樹脂):ガラスのような透明感、軽量(約50g)で割れない
- シリコン製折りたたみグラス:持ち運びに最適、ただし香りが立ちにくい
筆者の愛用品はトライタン製。見た目も美しく、洗いやすく、スタッキングもできる優れもの。実測で約60gと軽く、2個持参しても負担になりません。
ソムリエナイフ vs スクリューキャップ
スクリューキャップのワインなら、オープナーは不要。ただし、コルク栓のボトルを持参する場合、ソムリエナイフ(コンパクトなコルク抜き)は必須です。
キャンプ用には、以下の機能があるものを選びましょう。
- 栓抜き機能付き(ビールも開けられる)
- フォイルカッター付き
- 折りたたみ式で携帯しやすい
価格は1,000〜3,000円程度。安すぎるものはコルクが割れやすいので、ある程度の品質を選ぶのがコツです。
保冷バッグ・クーラーボックスの使い方
移動中の温度管理には、保冷バッグが便利。ワイン専用の保冷バッグも市販されていますが、普通の保冷バッグでも十分です。
温度管理のポイント:
- 保冷剤は上下に配置(冷気は下に溜まるため、上にも置くと効果的)
- 直射日光は絶対避ける
- 到着後すぐに飲まない場合、夜は車内かテント内で保管
真夏のキャンプで30℃を超える日中、クーラーボックスに入れていたワインが、夕方には25℃まで上昇していたことがあります。保冷剤は多めに準備しましょう。
特別な夜に: ワンランク上のキャンプワイン

いつものキャンプとは違う、記念日や特別な日。そんな時にふさわしいワインもご紹介します。
サントリー 登美の丘 赤
サントリーの自社畑フラッグシップワイン。参考価格4,180円で、2件のレビューは満点の5.0。日本ワインの実力を示す1本です。
山梨県の登美の丘ワイナリーで丁寧に育てられたブドウから造られる、繊細で複雑な味わい。メルローを中心としたブレンドで、和食との相性も抜群。キャンプで日本食(焼き魚、照り焼き等)を作る際、このワインがあれば格別です。
筆者が結婚記念日の夫婦キャンプで開けた際、焚火の光の中で飲む登美の丘は、まさに「日本の夜」という風情。ラベルも美しく、特別感があります。
こんな人におすすめ:記念日キャンプ、日本ワイン好き、和食と合わせたい方
こんな人には向かない:コスパ重視の方、カジュアルに楽しみたい方
ブシャール ブルゴーニュ ピノ・ノワール ハーフボトル
フランス名門ブシャールのブルゴーニュ。ハーフボトル(375ml)で参考価格2,200円。2人でゆっくり飲むのにちょうど良いサイズです。
ピノ・ノワールの上品な味わいと、ブルゴーニュらしいエレガンスが魅力。キャンプで飲むには「もったいない」と感じるかもしれませんが、だからこそ特別な夜にふさわしい。秋の紅葉キャンプ、冬の静かな森の中、そんなシーンで開けたい1本です。
ハーフボトルは持ち運びも軽く、荷物を減らしたいソロキャンパーにも最適。
マトゥア ピノ・ノワール マルボロ
ニュージーランド、マルボロ地区のピノ・ノワール。参考価格2,750円で、冷涼地らしいエレガントな味わいが特徴です。
NZのピノは、フランスとは異なる果実のピュアさが魅力。赤い果実(ストロベリー、ラズベリー)の香りが鮮明で、タンニンは控えめ。春の爽やかな夜、川のせせらぎを聞きながら飲むのに最適です。
筆者が初夏のリバーサイドキャンプで試した際、川魚のグリルとの相性に驚きました。繊細な味わいなので、静かな環境でじっくり味わいたい1本。
よくある質問
Q1. 白ワインはキャンプに向かないのですか?
いいえ、そんなことはありません。ただし白ワインは冷やして飲むことが前提なので、保冷管理がより重要になります。夏キャンプでクーラーボックスに余裕があれば、辛口の白ワイン(ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ)もおすすめ。魚料理や鶏肉、野菜のグリルとの相性が抜群です。ただし、保冷剤が溶けて常温になった白ワインは美味しくないため、赤ワインの方が失敗が少ないと言えます。
Q2. ワインボトルが割れた場合の対処法は?
万が一割れてしまった場合、ガラス片が飛散するため非常に危険です。すぐに周囲の人に知らせ、子どもやペットを遠ざけましょう。厚手の軍手をして、大きな破片から拾い集め、新聞紙やビニール